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スーパーリーグ構想、早くも頓挫。プレミアリーグ全6チーム「辞退」正式表明

2019年にはチェルシーが来日、川崎と対戦した。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

クロップは「クラブにとって重要なのはファン」とスタンスを貫く。

 12のメガクラブが参加表明していた「欧州スーパーリーグ構想」だが21日までに、参加予定だったイングランド・プレミアリーグの全6クラブが相次いで正式に『辞退』を表明する事態に至った。さらに参加依頼を受けていたドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンは「スーパーリーグそのものに『ノー』を突き付けたい」とプレスリリースを発表。公式サイトまで登場したスーパーリーグだが、発表から2日で早くも頓挫の危機に陥っている。

 不参加を表明したのは、マンチェスターユナイテッド、マンチェスター・シティ、リバプールFC、アーセナルFC、チェルシーFC、トッテナム・ホットスパーFC。サウサンプトンFCにレンタル中である南野拓実の保有元のリバプールはクラブ公式サイトで、次のように声明を発表している。

「リバプール・フットボール・クラブは、欧州スーパーリーグ創設案への関与を中止することとしました。創設案の発表以来、私たちは、クラブ内外の重要な関係者から様々なコメントを受け取りました。貴重な発言を通じて支援してくださった皆さまに感謝申し上げます」

 スーパーリーグ初代会長に決定していた、レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長はスペインのTV取材で、「若者がサッカーに興味を持たなくなっている。クオリティの低い試合が多く、興味を失い他のプラットフォームに乗り移ってしまっている」など、サッカー界全体に警鐘を鳴らす。そのうえで頂点を引き上げるスーパーリーグの意義を主張していた。

 ただし、リバプールのユルゲン・クロップ監督は19日、プレミアリーグのリーズ・ユナイテッドFC戦後のインタビューで、「結局金のことばかりだ」とスーパーリーグ構想を非難。身内からもサポートを受け切れずにいる状況が浮き彫りになっていた。

「スーパーリーグに対しては以前と同じ意見です。みんながハッピーではなく、自分は関わっていません。私はチャンピオンズリーグ(CL)出場に狙いを定めていますし、中堅クラブがそのような舞台でプレーする考えも好きです。ファンの怒りは理解できますし、自分にとって参加表明した12クラブが何をしているのか理解できません。常に試合を増やそうとして、結局、金のことばかりです」

 そしてレッズの指揮官はクラブにとって重要なのは「ファンとチームである」と、一貫して強調していた。

「思い出してください。クラブにとって最も重要なのはファンとチームです。これ以外の要素が上回ることはあり得ません。私はこのクラブを率いる責任があり、クラブとファンの関係性も同じです。何とかして解決の方向を目指したいです」

 クロップは2019年の『ビルド』のインタビューで当時スーパーリーグ構想が浮上した際、「なぜリバプールとレアル・マドリードが10年続けて対戦するようなカードが必要なのか。そのようなカードを毎年見続ける人はいるだろうか?」と疑問を投げ掛けていた。

 さらにはチェルシーのファンがスーパーリーグ反対を訴えデモを起こす事態にまで発展。プレミアリーグ勢は20日、そして21日に全チームが参加辞退を正式表明するに至った。

 他には、スペインのレアル・マドリード、FCバルセロナ、アトレチコ・マドリード、イタリアのユベントスFC、ACミラン、インテル・ミラノが参加に同意していた。

 当初の「スーパーリーグ構想」では創設15クラブは降格などなく永続して参加。さらに5クラブがシーズンごとに招待される予定で、まず12クラブが参加を表明。「創設メンバー」の残り3クラブは後日発表されるとアナウンス。2023-24シーズンあるいは「できるだけ早い段階」でスタートすると謳っていた。しかし声の掛かっていた、ドイツのバイエルン、ボルシア・ドルトムント、フランスのパリ・サンジェルマンはリーグに関与していないという立場を示していた。

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[文:サカノワ編集グループ]

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