【天皇杯】明暗分けた“開始15分の攻防” 相馬勇紀「さすが名将」、前川黛也「戦略が徹底されていた」。町田が神戸を下し初優勝
キャプテン昌子源を中心に、天皇杯を制した町田の選手たちが歓喜の戴冠! 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
「黒田監督が『決勝は最初の15分で何かが起こる』と話していて、さすが名将。その通りになった」
[天皇杯 決勝] 町田 3–1 神戸 / 2025年11月22日14:00 / 国立競技場
第105回 天皇杯決勝、FC町田ゼルビアが藤尾翔太の2得点と相馬勇紀の1ゴールで、ヴィッセル神戸に3-1の勝利を収め、初優勝を果たした。町田にとって初の主要タイトル獲得。
町田の2点目を決めた相馬は試合後、この試合に向けてチーム内で話し合うなか、「自分たちの良さを出すことにフォーカスしよう」と意識を共有し合ったという。そして青森山田高校時代にこの“国立決勝”の舞台で勝利してきた黒田剛監督は、開始15分の攻防の重要性を強調していた。
相馬は試合後、「なんとしてもタイトルを獲りたかった。自分たちの理想以上の試合運びができて、それを達成できて良かった」と頷いた。
神戸の右SB酒井高徳がハイラインに構えていて、相馬は守備の役割である山川哲史へのプレスを怠らず、そのうえでサイドのスペース攻略を狙っていた。そこで「(ミッチェル)デュークからいいパスが来た」と、32分、ゴール前へ抜け出してチップキックで2点目のゴールを決めた。
相馬はこのファイナルに向けた舞台裏を明かす。
「戦術・戦略というところで、今週、スタッフを含めて考えていた時、『ウチらの良さを出そう』と話していた。とにかく前からの強度を出して、開始15分で相手を押し切って勝とうと。(黒田)監督も『決勝は最初の15分で何かが起こる』と話していて、さすが名将です。おっしゃっていた通りになった」
一方、神戸のGK前川黛也は「前半相手のプレスに飲まれているところがあり、特に試合の入りでは、もっとアグレッシブに戦わないといけなかった。町田はすごくいい守備をするので、備えなければいけなかった」と、同じく明暗を分けたポイントとして、立ち上がりの攻防を挙げた。
結果的に藤尾に競り負ける形になってしまった前川は、「クロスに対する中への入り方は、すごく研究していて、細かいところまで戦略を練ってきているなと感じた。あそこに進入されてしまえば失点してしまう。そういうチームでもある。その過程で防ぎたかった」と、クロスやシュートの前段階で止めたかったと振り返った。
リーグ連覇、昨季は2冠を獲得した神戸だが、今季は国内無冠に終わった(AFCアジア・チャンピオンズリーグ[ACL]エリートは出場中)。
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シーズン移行を迎えるなか、前川は「決勝戦への気持ちの持っていき方や覚悟が全然足りていなかった。チーム全体で、決勝がいかに大事かを認識して臨まないといけない。特に前半はそうだった。タイトルを獲ってきたことに過信せず、チャレンジャーとしての強い気持ちを臨まないといけない。表彰式は本当に悔しい想いをした。次は必ずみんなで笑って締めくくりたい」と悔しさを滲ませた。




