【浦和】WB汰木康也が輝けなかった背景。そこから浮かぶチームの課題
C大阪戦で先発した浦和の汰木康也。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
ポゼッションを武器とする相手に、5〜7人が最終ラインに吸収され、攻撃にパワーを使えず。
[J1 26節] 浦和 1-2 C大阪/2019年9月13日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズのMF汰木康也がセレッソ大阪戦、3-4-2-1の左ウイングバックとして先発出場し、何度か持ち味である縦の仕掛けを試みたものの崩し切れず、55分に途中交代した。
試合後の汰木はウイングバックとしての感覚を掴みつつあるが、結果を残せなかったことを悔やんだ。
「1失点目に絡んでしまい、そこが全部だったと思います。もう少し前線から仕掛けたかったですが、ウイングバックとして上下の運動量を使うなか、どこで自分のパワーをその仕掛けで使うのか、試合中も考えながらやっていました。もう少し本数いけたかな、と思います。まだ難しい部分もありますけど、ルヴァンカップの鹿島戦より、少しは慣れてきているのは感じられているので、そのなかでもっと仕掛けられれば最高でした」
どうしても後ろに意識を持っていかれてしまう。
今季の浦和は、ポゼッションスタイルのチームに対し、そのようにボールを保持されるとウイングバック、さらにボランチも最終ラインとその前に吸収されて、「5バック」さらにはリベロの前をボランチ2枚が守備重視でカバーする「7バック」のようになってしまう。そこから武藤雄樹、興梠慎三、この日であれば長澤和輝のカウンターに懸ける形に。ただ前線の人数も限られるため、攻撃は単発に終わり、迫力を生み出せずにいる。
そして失点を喫した場合、意識が前掛かりになるため、3-4-2-1が有機的になり攻勢に立てる。
そんな前線に迫力をもたらしたい――。そのための汰木のウイングバック起用でもあるが、やはり「理想」には遠く、最終ラインに吸収されてしまった。そもそも戦術的な欠陥があり、改善できずにいると言えた。
汰木は振り返る。
「4バックに対してフリーになる自分と関根(両ウイング)が仕掛けて、武藤くんと(長澤)和輝くんのところで起点を作る、という狙いをチームとして持っていました。どうしても守備にパワーと言いますか、時間を使ってしまい、もうちょっと高い位置で、半分以上の力を攻撃に使えるようにしたいです」
ハーフタイムを挟み、それまで汰木が対峙する水沼宏太も松田陸も見る形になっていたのを、もう一つ前――松田の前でプレーするように修正した。ただ、そうすると守備がなかなか噛み合わなくなってしまった。
どうすれば、このチームが5バックや7バックになってしまう状況を改善できるか。そして、汰木のパワーがより生かせるか――。浦和の背番号24は言った。
「今日であれば、松田選手と水沼選手に対し、どうしても後ろに引っ張られてしまいました。それで、どこへ行ったらいいのか、ちょっと分からなくなり、サイドを走られてしまうシーンがありました。
そこは(左サイドを形成した)槙野くんともっとコミュニケーションをとって、もう少し自分が前に、割り切って、そこはプレスを含めて引かないようにしないと、前に自分も行けない。
そこは回数を重ねなければいけないですけれど、鹿島戦よりもそういった面が多少ですけれど良くなっていました。攻撃に力を使えるようになってきました。そこを伸ばしていきたいです」
3-4-2-1をベースにするのであれば、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代のミシャスタイルを経験していない選手たちとの戦術的なギャップも見られる。そのあたりの考え方の「差」をどのように埋めるかもポイントになりそうだ(そもそろミシャスタイル的な戦い方を志向しているのかを含め)。
汰木の見た目は颯爽に、しかし獰猛かつ狡猾に敵陣に襲い掛かるドリブル突破を、さらに浦和の力に還元したい。
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[取材・文:塚越 始]
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