最後に一言いいですか。切り出した大槻親分が「浦和の魂」に感謝する
浦和の大槻毅監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA ※ACL水原三星戦より
「誰もが顔を上げて、向かっていく姿勢を示してくれた」
[J1 28節] 浦和 2-1 清水/2019年10月6日/埼玉スタジアム2〇〇2
浦和レッズが清水エスパルスに2-1の逆転勝利を収め、リーグ戦では実に9試合ぶりとなる勝点3を掴んだ。
ドウグラスに先制点を決められたものの、前半終了間際に橋岡大樹の右サイドのクロスから興梠慎三がヘッドで合わせ同点に。そして75分、橋岡が火を噴くようなスーパーボレーを叩き込み、そのまま逃げ切った。
浦和の大槻毅監督は試合後の記者会見で、「先制点を決められしんどいなと思いましたけど、そこから誰もが顔を上げて、しっかり向かっていく姿勢を示してくれました。そして何より、サポーターの皆さんの後押しがあり、まさに一緒になって戦ってくれたことに感謝しています」と、埼スタ一体となって掴んだ勝利を喜んだ。
埼スタでのリーグ戦の”勝利の記者会見”は、7月6日の18節・ベガルタ仙台戦(〇1-0)以来、3か月ぶりだった。勝点35に伸ばし、降格圏から一歩抜け出した感はある。ただし、「今日、勝点3を取れて嬉しいです。しかし選手とともに感情を爆発させたい、というよりも、また次に向かって頑張りたいという気持ちです」と、指揮官が感慨にふけるようなこともなかった。
そして、この記者会見が終わったあと、大槻監督は「最後にいいですか」と切り出し、次のように言った。
「今日の試合前、バスで埼玉スタジアムに乗り込んだところから、サポーターの皆さんが素晴らしいものを見せてくれました(盛大な声援で出迎えられた)。本当に感謝しています。まさに、浦和レッズの魂の素晴らしいところです。一番、我々が、浦和が、Jリーグが始まってから積み上げてきた文化が、あの姿なのだと本当に感じました。到着したところから、感動しました。本当に有難うございました」
先日の天皇杯でJFLのHonda FCに敗れたあと、一部サポーターに囲まれてチームバスがスタジアムから出られなくなる事態も起きた。ただ、そういった事態を乗り越えて、まず今回、一つ結果を残した。
まだ1勝、されど1勝。誰もが浮かれた様子など見せていなかった。浦和がここから一歩ずつ、一丸となり突き進んでいく。
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[取材・文:塚越 始]