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東京五輪”候補生”、京川舞らなでしこチャレンジで大いに刺激を受ける

なでしこチャレンジで貴重な感覚を掴んだINAC神戸の京川舞。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「スピード」を意識したトレーニングで”基準”を体感。

 なでしこリーグは日テレ・ベレーザの優勝で幕を閉じ、女子クラブチームのステージは皇后杯へと切り替わった。一方、なでしこジャパンとしては、今年最後の活動として、12月10日から韓国で開催されるEAFF E-1選手権に臨む。そのスケジュールの合間を縫い、11月17日から20日の日程で、なでしこチャレンジトレーニングキャンプが大阪で行われた。

「なでしこジャパン予備軍」と位置付けられるなでしこチャレンジは、高倉麻子監督が就任時から力を入れてきた活動の一つ。なでしこジャパンが目指している、サッカー(戦術、理論など)、技術、フィジカルの基準を共有するミッションに加え、その経験を自チームに持ち帰ることで日本女子サッカー全体の底上げにつなげようというテーマを設けている。

 今回招集されたのは23人。かつてなでしこジャパンに呼ばれていた選手もいれば、チャレンジとしては常連の選手、初めて“代表”を意識する場所に立つ選手、そして調子を上げてきている旬な選手など、さまざまな人材が集まった。

 当然来年の東京オリンピックの存在を意識しない選手はいない。高いモチベーションにつながっているのは間違いない。

 選手たちは限られた期間のなか、映像を通じた意識の共有、男子高校生との合同練習など、高い集中が必要とされるメニューを積極的にこなしていた。

 ピッチ上で求められていたのは「スピード」だ。サイドからの崩しに合わせるトレーニングでは、多少ブレようが自身の持つパススピード、それに合わせる動き出しスピードの限界を引き上げようとトライする選手たちの姿があった。

 そのなかで京川舞(INAC神戸レオネッサ)は男子選手に負けじと切り替え(トランジション)でスピードを発揮。縦への攻撃のスピードでは、所属するINACでも、リーグでも、屈指のものを持っている。そこで京川は速く動き過ぎないように指示を受けているという。

 動き出しの速さを特長とする京川にとって、なでしこチャレンジでのスピードアップは願ったり叶ったりの要求でもあった。

「もっと速くても大丈夫。ボールを奪ったら、すぐ前を見てもらっても、準備はしているつもりです」

 そのように自信を覗かせた。守備面でもしぶとく二度追いでボールを奪い返す場面も多く見られ、なでしこジャパン入りに懸ける強い意気込みが伝わってきた。

 高倉監督は次のように語り、期待を抱く充実したトレーニングになった。

「実質3日間でしたけど、されど3日。選手はすごく反応してくれています。世界基準のスピードも体感し、まだまだだと思ってくれたことがすべて。ここから3か月、半年というところで化けてくれれば、最終的なところ(東京オリンピック)で名前が挙がってくるかもしれないです」

 なでしこジャパンの主力と呼ばれる選手たちの伸びしろもまだまだ未知数である。個を伸ばす以上に、チームとしての組織力の成熟にシフトチェンジし始めたなでしこに、新たな風を吹き込む人材がこの中から現れるかもしれない。

男子との練習試合で競り合う京川。「スピード」をより意識して取り組んだ。写真:早草紀子/(C)Noroko HAYAKUSA

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[取材・文:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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