「支え手はハンドにならない」JFAがルール説明会。プロフェッショナルレフェリーから解説も
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VARのオフサイド判定は、2Dラインを採用。
日本サッカー協会(JFA)は2月16日、Jリーグ2021シーズンの開幕を前に判定基準(スタンダード)とVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)に関する説明会を行った。ファンやサポーターに、新シーズンの判定基準について、改めて理解を深めてもらおうという取り組みだ。
JFAの黛俊行審判委員長、扇谷健司審判副委員長をはじめ、Jリーグ審判デベロプメントシニアマネジャー東城穣氏、さらにプロフェッショナルレフェリーの村上伸次氏、松尾一氏、佐藤隆治氏、野村修氏、池内明彦氏、笠原寛貴氏が参加。開幕前のタイミングで、審判の生の声を届ける貴重な機会にもなった。
判定基準の中では、ハンドについても詳しく説明があった。IFAB(国際サッカー評議会)のルール改正によりハンドはより細かい項目まで明文化され、扇谷氏は「レフェリーにとっても、チーム・選手にとっても、難しい状況が生まれてきています」と状況を報告。そのなかで昨シーズン、チーム関係者や選手でもルールが周知されていないのではないかというケースも見受けられたという。
例えば昨年のJ3リーグのカターレ富山対ブラウビリッツ秋田戦、右サイドから富山の選手が放ったクロスのボールが、スライディングでブロックした秋田の選手の体を支える右腕に当たった。ただし、これは「倒れて体を支えているための腕であり、かつ体から横または縦方向には伸ばされていないので、ハンドの反則ではない」。
この富山の選手は主審にハンドだと執拗に抗議し、結果的にイエローカードを受けた。扇谷副委員長は、サッカーが様々な感情の起伏の伴うスポーツであると受け止める一方、「手に当たっているのは明らかであっても、競技規則上、これはノーファウルです。しかし、手に当たればすべてハンドだという解釈を持っている方も少なからずいます」と説明。競技規則を正しく理解することで、無駄なイエローカードも減るということだ。
ハンドのルール改正を受けて、松尾主審はファウルの見極めについて、次のように難しさを語った。
「昨年のルール改正で、『腕』はわきの下の一番奥から下と定義づけられたこともあり、審判はボールが選手のどこに当たったのかしっかり見極めなければいけなくなりました。また、そのボールが選手にどのように当たったかも合わせて判断するようになりました。ハンドはさらに難しい判断を求められています」
逆にスライディングに行って振り上がった左手にボールが当たっていた場合、ハンドのファウルになる。
またオフサイドを巡るVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)では、Jリーグは欧州などで主流になる3Dではなく2Dラインが採用されることも報告された。
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[取材・文:塚越始]