名古屋シュヴィルツォクのドーピング問題、ポーランド専門家「B検体で覆る可能性低い」
名古屋のヤクブ・シュヴィルツォク。 (Photo by Masashi Hara/Getty Images)
近年は「偶然、不注意、軽率な行動は考慮されなくなっている」。
アジアサッカー連盟(AFC)は12月10日、10月のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝の浦項スティーラーズ戦後のドーピング検査で、名古屋グランパスエイトのFWヤクブ・シュヴィルツォク(Jakub Jan Swierczok)の検体(A検体)から禁止薬物の反応が検出されたと発表した。
この報告を受けて名古屋は「所定の手続きに従って同時に採取された別の検体(B検体)での再分析を要請しております。再分析等による結果が確定するまでの間、暫定な措置として、シュヴィルツォク選手は全てのサッカー関連活動に参加することができません」と報告している。
シュヴィルツォクの母国であるポーランドのメディア『インテリア・スポーツ』は12月11日、この発表を受けて、専門家であるセバスチャン・スタゼフスキ氏のインタビューを掲載した。
まずB検体がA検体と異なる結果――つまりB検体で陰性に覆る可能性について、ワルシャワの研究所に従事していた同氏は次のように見解を示している。
「私の記憶では、ワルシャワの研究所で長年仕事をしてきましたが、そのような状況は一度もありませんでした。
だからといって、そうならないというわけではありません。輸送やサンプルの保管方法に問題がある場合もあり得ますから。
しかし率直に言うと、その可能性は低いと思います」
また、知らないうちにドーピングが行われていた可能性は? それはあり得ることで、過去の事例を挙げる。
「頻繁にあります。例えばヤクブ・バブジニャク(元パナシナイコス、元ポーランド代表)は禁止薬物リストに掲載されたばかりの錠剤を、その前から服用していました。彼は(当時在籍していた)ギリシャ人医師に相談しながら薬を飲んでいましたが、その医師が最新の知識を持ち合わせていませんでした。
また中国産の肉を食べたところ、禁止薬物のクレンブテロールの陽性反応が出た事例もあります。肉を食べたことで問題に直面したのが自転車ロードレーサーのアルベルト・コンタドール(スペイン人)でした。
(ヤクブ・バブジニャクは)その後の訴訟で、一部勝訴しました(3か月の暫定資格停止措置のあと、さらに1年の活動禁止を一度言い渡された。しかしその1年分について撤回された)」
そのように選手の情報不足、「知らなかった(=無知)」ということでの、情状酌量は? 確かに過去、そのようなケースは見られた。
「しかし今は状況が違います。アンチ・ドーピング・コードは容赦しません。偶然、不注意、軽率な行動は考慮されません。アスリートには一定のドーピング知識と高い意識、注意が求められます」
では……改めてシュヴィルツォクのケースに。もしもB検体で陽性になった場合は?
「罰則のレベルを決める鍵は、物質の種類になります。
ここにさまざまな可能性があります。資格剥奪は非常に厳しい措置であり、そこまでならなければ、最低2年、場合によっては4年の停止処分になることもあります。まあ……マリファナやその誘導体を持っているようなことさえなければ、罰則は低くなるでしょう。
また、その薬物の濃度も低ければ。もちろん、今はどの物質群に陽性反応を示したのか分からないので、なんとも言えません」
日本ではなかなか触れる機会の少ない、ある意味、生々しい、具体的なインフォメーションも数多く紹介されている。また、「無知」が現在そこまで情状酌量にならない点も、これからの処分や判断のポイントになってきそうだ。
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[文:サカノワ編集グループ]