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ホンダに完敗の浦和。サプライズ起用の宇賀神が感じた「ワイドが死んでしまっている」

浦和の宇賀神友弥と大槻毅監督。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA ※写真は7月のリーグ16節・鹿島戦より

槙野が出場停止の左ストッパーに抜擢されたが失点に絡む。そこで感じた攻撃面の課題とは?

[天皇杯 4回戦] 浦和 0-2 Honda FC /2019年9月25日/埼玉スタジアム2〇〇2

 天皇杯4回戦、JFL(日本フットボールリーグ)Honda FCに0-2で敗れた浦和レッズのDF宇賀神友弥は「自分のところで失点を喫しているので、責任を感じています」と語り、肩を落とした。

 ルヴァンカップ準々決勝・鹿島アントラーズとの第1戦後の審判(VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリー)への問題となる言動により、この試合、槙野智章が出場停止に。また、大幅なターンオーバーにより、最近出場機会を得られずにいた浦和の背番号3は、左ストッパーに抜擢された。

 1列前のウイングバックは山中亮輔。かなり思い切った大槻毅監督の起用だったが、試合終盤、そこから二度立て続けに崩されて失点を喫した。

 失点は宇賀神のみの責任とは言えない。Honda FCのカウンターを発動させる前の段階で止めたかった。それでも「自分のところで止めていれば、問題なかったのかなと思います」と、浦和10年目になる宇賀神は失点の責任を受け止めていた。

 ビルドアップの形を作れない、攻撃の再現性がない、浦和はそんな状況が続いたままだ。結果的に、それが最終ラインに大きな負担となってのしかかったとも言えた。パスの出しどころがなく、リベロのマウリシオら最終ラインやGK西川周作までボールが来て、蹴り出して相手にボールを渡す――というシーンが、この日も繰り返された。

「JFL3連覇中ということで攻撃がしっかりオーガナイズされていて、ボールを持たれる時間はありましたけれど、しっかりとした守備ができている時間もありました。ただ、そこから攻撃のところで、もう一歩点が取れないなかで難しい結果になってしまったと思います」

 ストッパーのポジションから見ていて、浦和の武器にしたかった山中の突破力を生かしきれなかったことも悔やんだ。

「サイドチェンジが非常に遅かった。山中選手がフリーの時間が多かったけれど、そこにボールが向かうまでのプロセスがあまり良くなかったと感じています。自分もワイド(ウイングバック)をやっているので、もっともっとシンプルに使ってほしいなと思いながらプレーしていました。今ちょっとワイドが死んじゃっているのかなと思います」

 ウイングバックには、関根貴大、橋岡大樹、汰木康也、そして山中と宇賀神らが起用されているが、彼らを生かす「形」を作れないまま、ここまで来てしまった。9月28日にはJ1・サガン鳥栖戦(アウェー)、10月2日にはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)広州恒大戦(ホーム)、10月6日にJ1・清水エスパルス戦(ホーム)と連戦が続く。いずれも重要な試合だ。

「思い切りの良さが足りなかったからこそ、こうした結果になったのだと思います」

 宇賀神はそのように敗れた責任を痛感していた。ウイングバック(ワイド)を”生かす”ことが、天皇杯敗退に打ちひしがれる浦和がもう一度蘇るための必須条件の一つになる。

「今日に限ったことではない」浦和の武藤雄樹が改めて実感した課題。天皇杯HondaFCに敗れる

[取材・文:塚越 始]

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