【横浜FM】まさにアンカー。喜田拓也は地に足をつけて「仮に1位でも18位でも」

横浜FMの喜田拓也。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

首位・鹿島、2位・FC東京と勝点1差。「優勝」の声が強まるなかで――。

 横浜F・マリノスが10月19日の29節・湘南ベルマーレに3-1で快勝を収め、首位の鹿島アントラーズ、2位のFC東京と勝点1差に迫った。残り5試合、もちろん優勝も視界に入る一方、洗練されたスタイルをどこまで研ぎ澄ますことができるのか。そうした楽しみも提供している。

 いわゆる5レーンを有効的に活用し、ゴール前のハーフスペース(ピッチを縦に5分割した中央[センター]隣りの両レーン)の攻略を狙う。そこにボールが入ればビッグチャンス到来の前触れであり、そんな決定機の作り方をよく知るサポーターを含め、スタンド(ラグビーワールドカップ開催のため最近はニッパツ三ツ沢で開催に)が、ワッと盛り上がる。

 振り返ると湘南戦で、仲川輝人の先制点、遠藤渓太のカットインからのPK獲得、いずれも相手が危険を察知するハーフスペースを攻略してのものだった。おそらく、さらに深くえぐって”決定的な決定機”を作り出すのが理想的なのだろうが、その前段階で勝負に持ち込み、ゴールにつなげたと言えた。

 そのようにチーム全体が攻撃の意図を持ち、それを遂行できている。戦術の重要性を改めて示している。

 そしてアンジェ・ポステコグルー監督が試合後の記者会見で語った言葉も印象的だった。

「何より私は選手一人ひとりを誇らしく思います。選手たちそれぞれが最後の最後まで走り続け、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました」

 そのようにトリコロールの選手たちの労をねぎらった。

 日本代表のDF畠中槙之輔は「ベクトルがしっかりと、まず相手に向いている。自分たちのやるべきサッカーができていると感じます」と確かな手応えを得ていた。

 優勝へ――。そうした周囲の期待の声も一段と大きくなる。ただ、だからこそ喜田拓也は、地に足をつけた戦いを継続することの大切さを強調していた。

「仮に1位にいようが、18位にいようが、やることは変えない。そこに対しての信じる気持ちと自信をみんなが持っています。もちろん、そこに結果がついてくるに越したことはないですけれど、みんながそのように信じて取り組んでいます」

 まさにポジションと同じアンカー(錨)役である。

 内容と結果が伴う試合ができた。そこを基準に、さらに良くしていきたい。そのためには何ができるかをマリノスの8番はすぐ考えていた。

 洗練されたスタイルは、そんな作業の繰り返しから鍛錬されてきた。そして、まだまだ進化を遂げられる余地を誰もが感じている(一方、少しでも気を抜けばこの全員が連動し合うスタイルは成り立たないという怖さも表裏一体で感じつつ)。

 何より次の試合を迎えることを楽しみにしている雰囲気が伝わってくる。それはスタンドの雰囲気を含めて。横浜F・マリノスはあと5試合、どのように変化を遂げていくのか。とても楽しみだ。

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[取材・文:塚越始]

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