マジョルカ久保躍動。なぜVARがありながらボレー弾はハンドにならなかったのか?
マジョルカの久保建英。 ※マジョルカの公式インスタグラムより
あと一歩、あと数センチで、アウェーでの今季初の勝点を逃す。
[スペイン1部 14節] レバンテ 2–1 マジョルカ/2019年11月22日/エスタディオ・シウダ・デ・バレンシア
スペイン1部リーグ(ラ・リーガ)、RCDマジョルカのMF久保建英が現地11月22日、アウェーでのレバンテUD戦で先発フル出場した。久保は一時同点弾につながるキーパスを放つなど攻撃の起点として活躍したものの、チームは1-2で敗れて、開幕以来、アウェー6連敗を喫した。久保の前節ビジャ・レアル戦(〇3-1)に続く2試合連続ゴールはならなかった。
左ウイングで先発したレアル・マドリードからレンタル移籍中の久保は、試合の状況に応じて右サイドや中央でプレー。試合途中には右サイドで多くボールを触れる機会もあった。すると0-1で迎えた65分、右サイドのペナルティエリア内にボールを持ち運んで縦パスを放つ。そのクロスからダニ・ロドリゲスのゴールが決まった。
さらに試合終盤、久保の強烈なボレーが相手の手に当たってコースが変わった。久保らはレバンテのハンドリングのファウルを主張したが、主審はVARと交信していたが「ノーファウル」と判断して試合を流した。
そしてレバンテに退場者が出て、すべての交代カードを使い切ったものの一人負傷者が出る状況に。マジョルカは実質11人対9人で残り5分ほどを戦い、そしてラストプレー――。
中央でボールを持った久保のスルーパスを途中出場のFWアブドン・プラッツが受ける。マジョルカの背番号9が左足の強烈なシュートを放ったが、ショットはクロスバーを叩いてゴールならず。まさに、あと一歩、あと数センチのところで、アウェーでの勝点を逃した。
さて、久保のボレーが相手の手に当たったシーンだが、改めてこの夏に改定されたハンドの新ルールについて整理したい。
『攻撃側』の選手の手/腕にボールが当たって、ゴールまたはゴールに直接関わった場合、どんな場合(事故的)でもすべてハンドのファウルになる。「攻撃側の選手の手(腕)にボールが当たって、ゴール、あるいは得点機にいたった場合、すべてファウルになる」と明記された。
ただしそれはあくまで『攻撃側』であり、『守備側』には適応されない。
守備側(攻撃側を含め)は、「手で意図的にボールに触れる」、「身体を不自然に大きく見せている手/腕にボールが触れる」「肩よりも上にある手/腕にボールが触れる」場合、ハンドを取られる。
ただ、どこからが「意図的」か、「不自然に大きく見せているか」の判断は主審の裁量に委ねられる。今回もゴール前で出していた腕に当たってボールの方向が変わっていることから、久保らはハンドを主張。しかし、主審は意図的ではないと判断した(確かに両手を出していて、やや不自然な感じではあるが……)。
スペインリーグではVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が採用されている。ボールが手に当たった事実はVARから主審に間違いなく伝わっている。そのうえでの主審が判断を下したので、マジョルカとしても受け入れるしかない。もちろん、主審によってはハンドをとっていたかもしれないケースだったが……。
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[文:サカノワ編集グループ]