久保建英『幻のPK』でマジョルカ紙が怒る「VARは利益より被害のほうが大きい」
8月22日に加入が決まったヤニス・サリビュルと記念撮影をする久保建英(右)。(C)RCD_Mallorca
これまで全14節の”検証”記事を掲載。
[スペイン1部 14節] レバンテ 2–1 マジョルカ/2019年11月22日/エスタディオ・シウダ・デ・バレンシア
スペイン1部リーグ(ラ・リーガ)、RCDマジョルカはレバンテUDに1-2で敗れて、開幕からのアウェー戦6連敗を喫した。18歳の日本代表MF久保建英は3試合連続の先発、7試合ぶりのフル出場を果たし、一時同点に追いつくゴールのキーパスを放ったほか、試合終盤には立て続けに決定機を作り出した。
終了間際、ペナルティエリア内で久保が左足のボレーシュートを放つと、ボールが相手DFの投げ出した腕に当たったシーンがあった。しかしその腕にボールが当たったのはDFの「不可抗力」と見なされ、主審はノーファウルと判断。マジョルカにペナルティキックは与えられず、プレーが続行された。得点に直結するシーンであり、主審はVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)との交信を行ったものの、判定を覆したり、ピッチ脇のモニターでチェックするOFR(オンフィールドレビュー)を採用することはなかった。
マジョルカ島の地元メディア『ディアリオ・デ・マジョルカ』は、腹に据えかねたものがあったのか、「マジョルカは、VARによる利益より被害のほうが大きい」と題したレポートを掲載。1節から14節まで、VARが介入してPKなどに至った事案と、誤審だったのではないかというシーンをピックアップしてまとめ、改めて検証している。
久保については、4節のホームでのアスレティック・ビルバオ戦(△0-0)、13節のビジャ・レアル戦(〇3-1)、その両方の試合でのPK獲得について触れている。また、今回のレバンテ戦については、「ピサロ・ゴメス主審はビデオチェックの機会を忘れ、試合終盤の2度のファウルを見逃した」と指摘している。
最近の傾向として、ハンドかどうかの「ファクト=事実」は別室のVARで確認できるものであり、時間短縮のためOFRを実施していない。その「事実(腕に当たっていること)」をVARが伝えたうえ、そのプレーを間近で見ていた主審の最終判断に委ねられるからだ。
ただ確かに今回、VTRで振り返ると、ボールが来る方向にDFが両手を差し出しているように見えるが……。地元紙が嘆きたくなる気持ちも理解できるところだ。
この敗戦により、マジョルカは4勝2分8敗(13得点・21失点)で17位に後退。久保はリーグ11試合・1得点・2アシスト。週末の現地11月30日(日本時間12月1日2時30分)はレアル・ベティスとホームで対戦し、そして12月7日(同8日5時)にはFCバルセロナとアウェーで対戦する。
関連記事:マジョルカ久保躍動。なぜVARがありながらボレー弾はハンドにならなかったのか?
[文:サカノワ編集グループ]