城福浩監督が語る広島の血の継承「ベテランがいるからこその底上げ」
広島の城福浩監督。(C)SAKANOWA
「毎回が後悔の塊です。『ああすれば良かった』、『あの選手を入れておけば良かった』と思うことはあります。ただ――」
城福浩監督がサンフレッチェ広島を率いて3シーズン目を迎える。1年目はリーグ2位、昨季は6位に終わったものの多くの選手が日本代表デビューを果たすなど変化と底上げを遂げた。このほど行われた2020Jリーグプレスカンファレンス、城福監督に新シーズンへ向けた抱負、そして指揮官が振るってきた采配に見える思い切った「決断」について話を聞いた。
――城福監督が広島を率いて3シーズン目を迎えます。飛躍の年として期待されます。
「サンフレッチェ広島が栄冠を勝ち取るプロセスを考えると、若手と言われた選手が何年後かにピークを迎えた時にタイトルを獲る。クラブの規模を考えると、それしかないと言えます。基本的には選手を取り合って獲得して即戦力にする、というクラブではありません。昨シーズン、その底上げへの初年度だったという位置づけもできます。だからこそ苦しみながらも、ある程度の成果を残せました。昨年よりも上積みを見せられるシーズンにしたいですし、もちろんタイトルを獲るためには得点力のアップ、それに選手層がもっと厚くなることが必要になります」
――その選手の「厚さ」は現状ではどう捉えていますか?
「地味ですけれど、非常に有効な補強をできたと思います。若手の底上げもできています。11人、18人を選ぶことがより難しくなっていることは事実です」
――城福監督の采配は、本当に「決断」と言える、思い切った判断をしているように見えます。やはり腹を括り、一つひとつ決定を下しているのでしょうか。
「いや、毎回が後悔の塊ですよ。『ああすれば良かった』『こうすれば良かった』、『あの選手を18人に入れておけば良かった』と思うことはあります。ただ、みんながその時、その瞬間に必死に練習をしてきて、18人を選ぶのが難しくて、だからこそ、(メンバーに)入れた選手を信じて使う。そういった心境になっているのは事実です」
――そういったなか、大迫敬介選手、松本泰志選手、森島司選手が日本代表デビューを果たし、荒木隼人選手もA代表入りしました。間違いなく選手たちは、城福監督のもとで進化を遂げています。彼らの活躍を見ていると、まさに監督冥利とも言えるのではないでしょうか。
「ただ、そこはベテランの選手がいるからこそです。『あの人を差し置いて俺が出ているんだ』と思わせてくれるぐらい、(ベテラン勢が)頑張っているんですよ。それは、やはりサンフレッチェ広島、このクラブの財産だと思います」
――なるほど。サンフレッチェ広島らしさ。
「不貞腐れているベテランなんて一人もいません。そういうのを感じながら、見ながら、若手選手がピッチに立っていける。そのクラブの良さを、ピッチでも発揮していきたいです」
――みんなを尊敬しながら強くなっていく。確かに広島からはその血の継承を感じます。
「だからこそ、若手だけへのリスペクトではなく、チーム全体でというところを大事にしたいです」
――広島として、そして城福監督のもと、こうして底上げも図れている。だからこそ、何か「結果=タイトル」が欲しいところでもあります。
「さらなる底上げ、それに若い選手は成長しています。最後にラストスパートをかけられる位置につけて、タイトル争いをできるようにしたいです」
――城福監督が歓喜する姿をたくさん見せてください!
「はい、ありがとうございます」
J1リーグは今週末に開幕を迎える。広島は2月23日14時から、ホームのエディオンスタジアム広島で鹿島アントラーズと対戦する。
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[取材・文:塚越 始]