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「弱音は言えない」Jリーグとの懇談で選手会が「不安」告白。コロナ感染リスクとどう向き合う?

Jリーグの村井満チェアマン。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

家族や大切な人のことを考えると――。選手から村井チェアマンへ、練習再開に向けて「慎重に判断してほしい」という要望なども出る。

 Jリーグは4月15日に臨時理事会を開き、その後、村井満チェアマンと各プロジェクトリーダーによるメディアブリーフィングが行われた。

 そのなかで、村井チェアマンがJリーグの原博実副理事長、佐伯夕利子理事らとともにJリーグ56クラブの選手代表と実施した10日の懇談会で、印象に残った話の一部を明かした。

 村井チェアマンからは、スケジュールが白紙撤回に至った理由について説明。原副理事長からは激励や協力を要請する旨の話も伝えられたという。

 一方、選手たちからもたくさんの意見や要望が出された。そのなかで、村井チェアマンが印象に残った多くの意見として、次のように挙げた。

「自分自身のコンディションであり、家族を守ること。そうした意味で、非常に選手が不安な状況にある、ということを改めて認識しました。選手もあまり弱音を言ってしまうと、自分がチームやクラブから期待されなくなってしまうのではないかという側面もあり、なかなか選手からは意見を言いにくい現実があるということでした。練習再開に関しても、慎重に判断してほしい、という声もありました」

 まさに選手を代表する形で、そのような”本音”も届けられた。

 また、北海道コンサドーレ札幌の選手が、北海道の地域社会のために給与の一部返上を決定したことについての話も出たという。

「選手はJリーグの価値のすべての原点であり、一番大事な部分でもあります。今回の危機的な状況にあり、今後もリーグと選手と直接意見交換をしていこうということで申し合わせています」

 そのように村井チェアマンは語っていた。

 結果的に感染した選手が”謝罪”をするような状況は、確かに誰も望んでいるものではなかった。これまで感染が確認された選手は、4月下旬からのJ再開に向けてトレーニングを積んでいた。もちろん誰も先の予測ができない状況下ではあったものの、結果的に再延期が決まったことを踏まえると、Jリーグにも責任の一端はあったと言える。

 Jリーグとして、どのようにこの危機を乗り越えていくのか。選手の直接的なメッセージが村井チェアマンのもとにしっかり届いたことは、今後、未来を切り開いていくうえで、重要な意味を持ってきそうだ。

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[取材・文:塚越 始]

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