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【Jリーグ】多様化する資金調達へ「内なる制度疲労ないか総点検」

写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

クラブライセンスの特例措置、従来の予定通り今季で終了へ。その決定を受けて、村井チェアマンが「これからの転換点」と説明。

 Jリーグは10月26日の理事会のあと、オンラインによる記者会見を実施した。そのなかで2022年度以降の「Jリーグクラブライセンス判定における財務基準」について、昨年10月に設定した基準通り、特例措置は「2021年度末」までとし、さらに延長しないことを決定。2年間の猶予期間を設けたうえ、元の基準に戻すことを申し合わせた。ただし新型コロナウイルスの感染状況など外部環境が大きく悪化した場合、特例措置の期間を延長する可能性がある。

 この決定を受けて、村井満チェアマンは先日の「ホームタウン制度撤廃」と報じられた一部報道の内容にも触れ、次のように説明した。

「(Jリーグ各クラブの)こうした活動が行われているのもホームタウンの自治体、地域の皆様、様々なご協力の中でできているわけですが、一部報道にあったJリーグがホームタウン制度そのものを見直すことは、一切行っていません。

 Jリーグに入会する時にホームタウンを定め、そこでスタジアムを用意し、最低8割の試合を実施する。入会時には自治体のトップ、47都道府県のFA(サッカー協会)の全面的なコミットの文書をいただき、協力を得ながらJリーグを運営することに変わりはありません。今日改めて申し合わせています」

 そのうえで、コロナ禍から新たなステージに向かうというリーグの“覚悟”も示した。

「クラブ、リーグは苦しい経営を重ねてきました。ここからは経済活動をしっかり行いながら健全な発展を目指していこうという文脈のなか、先ほどお話しましたが、ライセンス制度について、いわゆる特例措置を、(従来通り)この2年間で終えようという意思決定をしました」

「第6波の懸念がないわけではありません。来年以降、新たなウイルスの変異株が現れるなど想定し得ない事象も起こるかもしれません。ただ、こうした状況が見え隠れし、クラブも傷んでいる今の状況だからこそ、しっかり債務超過を回避していこうというのが、クラブと理事会の合意でした。コロナとこれからの転換点であるからこその意思決定であったと考えています」

 そのうえで「収益確保」のための多角化が進むなか、Jリーグが、そうした資金調達の手段に対し、「内なる制度疲労はないかを総点検しています」とも説明があった。

「その他にもリプランニングにより、成長軌道に乗せていくための修正議論をしています。クラブにおいては、新たな収益源の確保として、今まで大幅に制限されていた入場数やスポンサーシップなど様々な収益源の多角化を図っていくことになると思われます。

 いわゆる『売上』は、入場料収入、スポンサーシップ、放映権だけではなく、各種資金調達の手法が多様化しています。増資を判断するクラブ、借入を検討するクラブもあるかと思います。一部ではクラウドファンディングという新たな資金調達方法をしています。

 今後こうした多様化する資金調達の手段に対し、我々の内なる制度疲労がないかを総点検しています。例えば増資等新たな投資家が現れた時、資本流動の手続きに硬直的なことはないか。細かなところも総点検しています」

 反社会勢力が新たな株主になることは、もちろん厳格に制限する。そのうえで、村井チェアマンは次のように説明した。

「善良な株主にクラブ経営の参画余地を大幅に柔軟にしていくためには、どのようなことが必要か。いわゆる適正性の高い経営と柔軟な資金調達の手法について、この転換点から次に向かう様々な議論が始まっていると言えます」

 資金調達について、健全性を保ちながら柔軟性を持たせる。そのための方法について協議しているということだ。

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[文:サカノワ編集グループ]

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