東京Vに罰金100万円、永井秀樹前監督のハラスメント認定「不必要で攻撃的、人格を否定する言葉や暴言」「不適切な指導」
東京ヴェルディのユニフォーム。(C)SAKANOWA
Jリーグがけん責とともに処分内容と理由を発表。
Jリーグ(公益社団法人日本プロサッカーリーグ、村井満チェアマン)は12月24日、裁定委員会に諮問していた東京ヴェルディに対し、永井秀樹前監督による指導に不必要である攻撃的な言葉や暴言、不適切な指導、人格を否定する言葉や暴言など、複数のコンプライアンス違反があったとして、けん責と罰金100万円を課す処分を発表した。
Jリーグがクラブから提出を受けたコンプライアンス委員会報告書によれば、永井前監督は東京Vの選手やスタッフに対し、「サッカーの指導に不必要である攻撃的な言葉や暴言」「不適切な指導や不適切な取り扱い」「人格等を否定する言葉や暴言」などハラスメントを行っていたと認定された。
Jリーグはクラブ取締役、管理職者に対し直接事情聴取を実施し、事実関係が確認された。
裁定委員会への諮問及び答申を経て、クラブ側の管理監督義務違反を認め、Jリーグの社会的信用を毀損したとみなし、東京Vに対し「罰金100万円及びけん責」処分を課すと決定した。
懲罰理由は以下の通り。
(1) 東京Vは、Jリーグ規約及びJFAの定款及びこれらに付随する諸規程を遵守する義務があり、同クラブ所属の監督、選手及びスタッフ等の関係者がこれらに違反しないよう管理監督し、仮に違反行為があれば、これを直ちに是正する義務を負っている。
(2) 監督の本件各行為がマスメディアを通じて公表されたことにより、Jリーグの信用は大きく毀損した。
(3) 本件各行為は、選手ミーティング又は練習中に行われていたことを一部のクラブ職員は認識しており、同監督の言動を注意したことが認められるが、本件各行為を是正するのに十分なものであったとはいえず、結果として管理監督が行き届かない環境が生まれていた。
(4) また同クラブは、関係者に対する相談窓口の設置や研修の実施その他のハラスメント行為の発生を防止するための措置も講じていなかった。
(5) したがって、監督の本件各行為に関する同クラブの対応は、同監督の管理監督義務を果たしているとはいえず、Jリーグ規約第3条第3項に違反するものである。また、その結果Jリーグの信用が毀損されており、これはJリーグ規約第3条第2項に違反するものである。
【懲罰量刑の参考とした事項】
(1)東京ヴェルディは、2021年7月に発覚するまで、監督による本件各行為に対する具体的な是正措置を一切講じていなかった。
(2)また、監督に就任した2019年以降、監督と強化部の関係改善、相談窓口の設置やコンプライアンス研修の実施といったような本件各行為のような違反行為の発生を防止する対策を全く講じていなかった。 しかしながら、本件については以下の酌量すべき事実がある。
(1) 同クラブは、2020年12月末に経営陣の交代があり、現在の経営陣は、2021年以降、同クラブのガバナンスの強化及び改善を意図して社内規程及び社内制度を変更していた。本件各行為は、これらの制度変更を行っている中で生じたものであった。
(2) 同クラブは、本件各行為の発覚後、速やかにコンプライアンス委員会の設置、アンケートやヒアリングの実施、第三者である弁護士が担当する内部調査を実施している。
(3) 同クラブは、コンプライアンス委員会の改善要望書及び内部調査報告書の提出を受けて、速やかに関係者の処分を行うとともに、選手に対する相談窓口の設置や関連研修を実施する等、自浄機能を有する組織への変革の姿勢がうかがわれる。
【適用条項】
『Jリーグ規約』
第3条〔遵守義務〕第1項、第2項、第3項
第133条〔Jリーグにおける懲罰〕第2号
第142条〔懲罰の種類〕第1項第1号、第2号
第146条〔両罰規定〕
第152条〔2,000万円以下の罰金〕第1号
第156条〔第3条第3項違反の罰金〕第3号
『JFA指導者に関する規則』
第20条〔遵守義務〕第2号、第7号
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[文:サカノワ編集グループ]