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木村正明専務理事が託したJリーグの具体的テーマ「ヨーロッパ勢との真剣勝負の舞台を」。村井満チェアマンとともに退任へ

Jリーグの木村正明専務理事。(C)SAKANOWA

「最大の市場に関与できないことは、サッカーを産業として見た場合、やはり厳しい」

 Jリーグは3月8日、村井満チェアマン体制で最後となる実行委員会を行い、そのあとオンラインによる記者会見が開かれた。そのなかで村井体制の4年間を支えた木村正明専務理事があいさつ。そこでJリーグの具体的な課題として、「ヨーロッパのクラブとの真剣勝負の場」をいかに作り出すかを挙げた。

 木村専務理事はこの2年間のコロナ禍がリーグとクラブにとって痛恨でありながらも、広がっていった様々な新たなコネクションなどプラス要素を今後に活かしていってほしいと期待。また、2019シーズンのJ1リーグの平均来場者数は2万751人、J2リーグも7150人を数えた。2部リーグの入場者数は実に世界4位を数え、「クラブとリーグが一緒になってできることの方向性が見えてきた矢先でした。Jリーグ30周年に向けて、勢いを取り戻してもらいたいと思っています」と語った。

 そして木村氏は最後に、Jリーグにとって『欧州勢との真剣勝負の場』の重要性を強調した。

「ヨーロッパとの真剣勝負の舞台がクラブ単位でないことは、Jリーグの今後の成長にとって、すごく気になる点です。選手は移籍できて海外へ行けます。代表チームは真剣勝負の場(ワールドカップなど)が用意されています。

 ただ(クラブ、リーグとして)最大の市場に関与できないことは、スポーツでありサッカーを産業として見た場合、やはり厳しいと思います。日本と世界の差を、ずっと比べ続けられることになり、アジアのサッカーをどのように強くするかは、私たちにとってのテーマだと思っています」

 現状では、クラブ・ワールドカップで“一度”対戦するチャンスがあるかどうかだけ。2019年にはチェルシーFC、マンチェスター・シティ、FCバルセロナを招聘したが、コロナ禍を経て、そうした取り組みもしばらく実現が難しくなりそうだ。様々なレベルで、大会(枠組み)として、Jリーグ勢がヨーロッパ勢と伍する機会――その実現を目指してほしいとエールを送った。

「私は地方の親会社のないクラブ出身で(元ファジアーノ岡山社長)、社内の会議ではそのあたりを言ってきました。地方のクラブでもヨーロッパのクラブと真剣勝負できる機会があれば、世界とおらが村が戦える舞台を作れれば喜びになると思います。それはサッカーの醍醐味でもあります。そういった『世界のJリーグ』になればいいなと願っています」

 そのように木村氏はより具体的な「ロマン」であり「目標」を、今後のJリーグに託した。

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[取材・文:塚越始]

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