【Jリーグ】声出し応援、「スモールスタート」で実証試験を検討。野々村チェアマンが意向を示す
浦和レッズのサポーター。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
マスク着用、席の間隔を空けて。一方、課題も――。
Jリーグは4月18日、社員総会のあとオンラインで記者会見を行った。そのなかで懸案となっているスタジアムでの「声出し応援」の復活に向けて質問を受けた野々村芳和チェアマンは、現時点では基本的に政府や自治体の判断に委ねなければならない状況にあるものの、「どこかのクラブでトライを初めて事例を作っていく作業を積み重ねていきたい」と、今後への具体的な意向を示した。
サッカー競技の面では、コロナ禍でのワクチンの複数回接種が進んだことから、ヨーロッパ主要リーグや代表戦、さらにAFCアジアチャンピオンズリーグ(AFC)などで、各会場での声を出しての応援が認められている。欧州ではマスク着用なしに。しかし日本では、感染リスクが高まることから政府がイベントでの「大きな声」を出すことの自粛を求め、Jリーグ、日本サッカー協会(JFA)ともに、2020年の活動再開から声を出しての応援を「禁止」してきた。
野々村チェアマンは、コロナ禍を経て、従来の応援ができないことも影響してか、これまでクラブを支えてきたファン層が離れていると実感すると現状を捉える。また、改めてスタジアムの熱狂を取り戻したい人、一方で、声を出すとなった場合に恐怖や抵抗がまだある人、「その両方の立場が存在していて、両者にどう応えていくか。その真ん中で考えなければいけないと思っています」と、難しい状況について語る。
そのうえで状況を見て、Jリーグでも「声出し応援」の実証試験を行っていきたいと言う。
「スモールスタートと言いますか、どこかのクラブでそういったトライを初めて事例を作っていく作業を重ねながら、ゆっくり進んでいくのが現実的ではないかと思っています」
野々村チェアマンはそのように具体的な意向を示し、マスク着用、座席間隔を空ける形で、実施時期などはクラブと協議していくそうだ。
とはいえ、スタジアムで「大きな声」を出すことに、社会がどのように反応するのか。“サッカーは特別なのか”といった声に、どう応えるのか。もちろん具体的なデータの蓄積は必要と言えるが、屋外での座席を開けての実施であれば、そこまでリスクを伴わないことは分かる。「満員のスタジアムでの声出し応援」に向けて、どのようなエビデンスが必要なのか、青写真があまり見えてこない。
あるいは、やはり政府方針の緩和を待ったり、関係当局と協議していったりすることのほうが先決か。この議論、まだ全員で共有できる“絵=出口”が見えて来ない。
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