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【鹿島】岩政大樹監督の一問一答「勝たせること、に向き合う」。磐田戦前日、天皇杯甲府戦でのサポーターとの対話舞台裏、選手に求めた“3つの要素”とは?

磐田戦前日練習を見守る鹿島の岩政大樹監督。(C)KASHIMA ANTLERS

「サポーターにあのような負けを見せてしまい、ここで奮起しない者は鹿島にふさわしくない」

[J1 32節] 磐田 – 鹿島/2022年10月8日14:00/ヤマハスタジアム

 J1リーグ鹿島アントラーズの岩政大樹監督が10月7日、翌日のジュビロ磐田戦を前にオンラインによる公式記者会見に臨んだ。5日にカシマスタジアムで行われた天皇杯準決勝・ヴァンフォーレ甲府戦を0-1で落とし、今季の無冠が決定した。

 甲府戦後にはゴール裏のサポーターと対話した岩政監督は、リーグ残り3試合、「勝利」に軸を置いて戦うと方針を示した。

 記者会見での一問一答は次の通り。

――天皇杯準決勝の敗戦から切り替えるため、選手たちに伝えたことは?

「僕が試合後に感じたことです。確かに今季のタイトルレースが終わったと最初は感じましたが、同時に『始まった』と思いました。天皇杯は、苦手な相手が敗れ、勝ち上がりを含め流れが来ていて、クラブ全体でここを行けるのではないか、これを獲れれば新しい時代へ進めるのではないかという甘さがどこかにありました。

 ただ、僕たちの現実はもっと奥の深いところにあり、そこと向き合わなければいけない。それがいつかどこかで辿り着く場所があって、その時におそらくこの日がスタートになると感じました。それを伝えました。この日付、2022年10月5日を忘れないようにしよう、そしてスタートを切ろうと。

 最近見られている課題として、鹿島というチームを勝たせるとはどういう選手になることか、そこに向き合おうと伝えました。サッカー的な視点では、冷静に振り返ってみると、共有できアップデートされてきています。一歩手前まで来ていて、皆さんのいう結果という面ではこの2試合確かに出ていません。トレーニングを積み自動化した動きは出てきています。そこは継続しようと。ただ、決定的に足りないのは、勝たせることです。

 サポーターの皆さんに申し訳ない状況が続いています。ホームで0-1で2試合連続で完封負けを喫した、そこと向き合わなければいけない。このあたりも鹿島はなんとなく上位にいて、年間で勝っている試合数も多かったなか、そこと真剣に向き合い一緒に乗り越えて、辿り着こうとスタートを切りました」

――甲府戦から中2日での磐田戦、選手起用は?

「ターンオーバーという意識は一切ありません。競争がここからスタートしたということ。鹿島を勝たせられる選手、という基準で起用していきます。そぐわなければ当然振り落とされます。そこは僕も監督として、厳しくジャッジしていきます。これまでチームを作らなければいけないというサッカー的な視点でアップデートできています。プラス、向き合うべき課題となったのが『試合をどのように勝たせるのか』。スコアを一個以上、相手より上にして終わらせるため、そこに選手を向き合わせます。その基準でメンバーを選びます」

――常本選手の起用は?

「予想以上に早く戻ってきています。出られる状態なので、明日も連れていくと思います。非常にいいパフォーマンスを見せていて、いい状態です。その取り組みは、リハビリをしている他の選手にもいい影響を与えています」

――残り3試合の位置づけは?

「勝たせること、に向き合います。もちろん、ただ勝つだけではなく、サポーターが求めているのはもっと先にあり、そこへ辿り着くためには、競争もそうですが、日常のいろんな意識を一段、二段上げていかないといけない。そういうチームに、今はなれていない。だからこそタイトルを獲れていない。その現実に向き合い、トライしていく3試合になります」

――最下位の磐田の印象は?

「前節セレッソと戦ったいい手応えをもって臨んでくると思います。非常に厳しい試合になります。中2日の僕たちと、中3週間のジュビロ。それがどのように影響するのか。お互いに勝たなければいけない試合になります。そこを突き破り、相手を上回っていかなければいけない。そういう勝負になると思います」

――甲府戦のあと、ゴール裏のサポーターとどのような話をしたのか?

「試合後スンテが泣いていると聞いて、ピッチにいる彼のところへ戻りました。その流れでゴール裏に向かい、あのような状況になりました。僕はサポーターの皆さんと意見交換し、ケンカしていたという意識はありません。

 ここからスタートして踏み出していくという、みんなでここからやっていこうと話しました。それまでいろんな感情が渦巻いていましたが、サポーターと話をした時、僕の中で、ここからだと思いました。負けたので不謹慎かもしれませんが、選手たち、サポーターと、ここをスタート地点にと。ホームであのような敗戦があったからこそ、始まりだと、本当にそう思いました。

 僕はそれをやり遂げると、それを選手たちと共有しスタートしています。共有できない者は鹿島の人間ではない。サポーターにあのような負けを見せてしまい、ここで奮起しない者は鹿島にふさわしくないと思います。その(奮起する)姿勢を見せている選手は、この2日間の軽めの練習でも、感じるものはあります。辿り着く日まで、あの敗戦を心に刻みながらやっていこうと思いました」

――その「勝つ鹿島」になっていくために選手に必要なことは?

「今日選手たちに3つ提示しました。一つ目がハードワーク、二つ目が問題を解決すること、三つ目が勝者のメンタリティを持つこと。その3つの下、みんなの目につくところに10月5日という日付を記しました」

「ハードワークは鹿島が元々持っていたものでしたが、この数年は少しずつストロングになり得ていないのではないかと思います。それを見つめ直そうと。ハードワークはいろんな捉え方があります。守備の献身も、攻撃のアクション、ランニングもそうです。それが見られている時は非常にいい時間帯ですが、停滞する時間帯はそれが見られない。ちょっと落ちてきていると感じます」

「(問題解決について)ずっと最近見られていることです。問題が起きた時、解決できる選手が少ない。一人で解決できることもあれば、複数の選手を巻き込んで解決できることもあります。監督としては戦術的なもので解決できる面もあります。いろんな選手、スタッフでやらなければいけない。ピッチ上で起きている現象を分析し、それに相手も対応してくれば、次を持っていく。現在のF・マリノス、フロンターレなどは、戦況を見極めて戦い方をアップデートし凌駕しています。ウチはこの何年か足りないと思います。何かを徹底し、やり続けて、それがダメだと勝てない。それでは優勝するチームになれません。いずれそこに辿り着くためには、そういう視点も伝えなければいけません」

「勝者のメンタリティですが、僕たちの日常からの取り組みがどこにあるのか。リハビリの姿勢もそう。毎日のトレーニングに向かう姿勢もそう。1試合の勝利に向かう姿勢もそう。いろんなものに勝者のメンタリティがくっついているかというと、そうは言えません。そこは足りないと思います。この3つが決定的に欠けていると。それを日常から彼らに要求していきます。勝ち方やそのメンタリティを鹿島のサポーターはよく知っています。引っ張ってくれるので、それを受け止め、向かっていかないといけない。それを突き付けられた最近の結果だと思います。僕も真正面から選手たちに要求していきます。そこは気持ちを新たにやっていかなければいけないと感じました」

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