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大正製薬がカズを巡り敗訴も激怒「スポーツ選手や芸能人の広告起用にかかる業界の慣習を揺るがす事態」と声明…賛否を呼ぶ

三浦知良 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

リポビタンDの「錠剤」巡り、裁判所は契約書に「文言がない」と退ける。カズはサントリーで同タイプの広告に登場。

 大正製薬株式会社は8月4日、 「株式会社ハットトリックとの訴訟について」と題したニュースリリースを発表した。同社はヒット商品『リポビタンD』の広告・宣伝に三浦知良を長年起用し、その契約を代理店の株式会社ハットトリックと結んできた。このほどリポビタンDの錠剤タイプ「リポビタンDX」の広告に三浦を起用しようとしたところ、ハットトリック社が「錠剤」について契約書に規定がないと拒否。さらにサントリーウエルネス株式会社の錠剤タイプの健康食品の広告に三浦を出演させた。これに対する訴訟を起こしたのだが、敗訴となった大正製薬が「本件はスポーツ選手や芸能人の広告起用にかかる業界の慣習を揺るがす事態」と憤りの声明を出した。これに対し、SNS上では、賛否両論が巻き起こっている。

 大正製薬はリポビタンシリーズの一環で「錠剤」も契約上の広告対象に含まれ、競合禁止規定に該当するとして、ハットトリック社を訴訟。しかし裁判所は、契約書に「錠剤」の文言がないとして、この請求を認めなかったという。

 この判断に、大正製薬は反論。「裁判所の判断は、業界の健全な社会常識に明らかに反するもの」と主張している。そのうえで「本件はスポーツ選手や芸能人の広告起用にかかる業界の慣習を揺るがす事態といえます」と、“慣習”を持ち出している。 

 加えてサントリーウエルネスの対応にも怒りを示し、「このような事態が今後起こらないよう本件をここに公表いたします」として、次のように締めくくっている。

「競合する会社間で、同一のスポーツ選手や芸能人を広告宣伝に起用する際には、出演者、広告代理店及び広告主が互いに配慮することこそが、業界の発展に寄与し、持続可能とするものであり、企業価値の向上に資するものであると考えております」

 SNSでは、契約書に書かれたことが全てで、飲料と錠剤は異なり、すでに裁判所の判断が下されたうえでの反論とあって、フェアではないのではとの意見が多い。一方、「健康」という大きな枠組みで捉えたならば、三浦サイドに配慮があってもよかったのでは……との声も上がる。

 何より、敗訴したにもかかわらず、カズへの配慮などが感じられない一方的な発表になっている。「リポビタンD」は、三浦の世代に加えて、カズを応援してきた世代が一番のターゲット層になっている。むしろ大きな企業の「慣習」に辟易した経験を持ち、さまざま場面で「契約」の怖さを知る層でもあり、この“ファイト”の仕方が、果たして共感を得られるだろうか。

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 56歳になったサッカー元日本代表のFW三浦は、いまなお現役のプロアスリートとしてプレー。2023-24シーズン、横浜FCからポルトガル2部UDオリヴェイレンセに期限付き移籍している。

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