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【高校サッカー選手権】山梨学院の秘策成功「CB藤原優大へのマンマーク」、起点を封じるとともに―

全国高校サッカー選手権、山梨学院高校が優勝!写真提供:オフィシャルサポート

長谷川大監督「10回やって1回勝てるかどうかという相手。10対10にしてしまおうというプランでした」。狙いは緻密!

[高校選手権 決勝] 山梨学院 2(4PK2)2 青森山田/2020年1月11日/埼玉スタジアム ※45分ハーフ

 全国高校サッカー選手権決勝、山梨学院が青森山田との延長110分間の死闘を演じて2-2のままPK戦に突入、4-2で制して11大会ぶり二度目の優勝を果たした。

 山梨学院の長谷川大監督は「10回戦って1回か2回勝てるかどうかという相手で、その『1回』が今日来るように、どう戦っていくのか準備して臨みました」と振り返った。

 今回、山梨学院は青森山田のセンターバックでありビルドアップの起点となるキャプテン藤原優大にマンマークをつけるという秘策を披露した。まさに一戦必勝の一手。それが見事に結実した。

 その意図を指揮官は語る。

「上手くいけばいいなとだいぶ考えました。山田の出発点は、センターバックの藤原くんからだとずっと思っていました。そこで、彼に対してマンマークをつけました」

 長谷川監督が神奈川大を率いていた際、早稲田大と対戦した際に採用して成功している策だったという。

「それが今回出せるのではないか、おそらく(相手も)思い付かなかったかもしれません。センターバックに対しFWをつけて、10対10にしてしまおうと。10対10にすることによって、後ろのラインとFWはピッタリの状態で、逆にそこにクリアボールが入るとマッチアップを作れるため、タビナス(ポール・ビスマルク)くんの上がりも牽制できると思いました。藤原くんにはゲーム中のボールタッチを不参加、まったく触らせないことにしましょう、というゲームプランでした」

 そのように長谷川監督は、思い切った策を打ち立てた狙いを明かした。そしてその狙いを選手たちも理解して、遂行していった。

 明らかにこれまでと様相の異なる青森山田はバランスを崩し、そこを突いて12分に広澤灯喜が先制に成功。一時逆転を許したが、耐え抜いて、野田武瑠の一撃で追い付いてみせた。

「前半はうまくいっていたと思いますが、徐々に少しずつ押し出されました。ただ、この大会はボールに対する粘り強い守備、ゴール前でシュートを打たせない守備、簡単に前を向かせない守備、それらを距離感を自分たちで保ちながらコントロールしながらできていたので信頼していました。選手交代や試合状況から、飛び込んだり、規律性が失われ、攻め込まれたシーンでは、そこを修正しなければ厳しいと考えていました」

「圧力をかけてくる裏側を狙っていったのは上手くいきました。選手たちは迷いなく取り組んでくれて、一撃を刺すところで、電光石火に決めてくれました。本当に頼もしかった。先制点を取れたことで、信じて突き進むことができました」

 青森山田の執念も凄まじかった。ただ、カップ戦ならではの醍醐味が凝縮された一戦、試合はドローでPK決着となったが、就任2年目の長谷川監督のもと、山梨学院が二度目の日本一の頂点に立ってみせた。

注目記事:【高校選手権】山梨学院が青森山田と激闘、PK戦を制して11大会ぶり2度目の全国制覇

[文:サカノワ編集グループ]

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