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【東アジアE-1】なでしこJ、そこまで悲観的にならなくていいのでは?

劣勢からの打開を模索する高倉監督(右)と大部コーチ。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

1点動いたことで、相手の心理的な変化を突きたかったが…。

 下を向くな、頑張ろうと声を掛けるだけが、気持ちの切り替えではない。今回で言えば、0-1になった時点で、むしろ全員のターゲットが「2失点目を与えず、2ゴールを残り時間で決める」の一点に切り替わるわけだ。難しいミッションだが、明確な目標を持てるのは戦いやすい面もある。それこそが「切り替え」だったはず。

 北朝鮮の敵陣にどのような変化が生じているのか。今回はテストに重点が置かれ、そのなかで勝利を目指した。しかしこうした戦況下でこそ勝利だけを目的に、慌てず状況を把握し、反撃の糸口を見出したかった。

 若い選手たちが自らの殻を突き破っていこうとする覚悟も伝わってきた。選手の成長と結果を求められる高倉監督はジレンマを抱いていたようだが、2011年のFIFAワールドカップ優勝メンバーと20代前半の若手の「世代融合」が試合を重ねるごとに進んでいることも感じ取れた。

 1点奪われたぐらいで落ちこむぐらいの、ひ弱ななでしこはきっと愛されない。一度踏まれたぐらいでもへこたれず美しく咲くなでしこは、多くの人を魅了する。世界を驚かすぐらい絢爛に咲くためにも、今回の痛恨の敗戦を力に変えるしかない。

田中、中島、岩渕弾…日韓戦で勝利。なでしこの笑顔を厳選写真で振り返る

取材・文:塚越 始
text by Hajime TSUKAKOSHI

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