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【指導者の視点】日本代表の「厚み」ある攻撃を生んだ、谷口彰悟と板倉滉の“緊急出場組”も文句なしだったビルドアップの安定感

クロスから1点目のPKを獲得、さらに2点目を奪取!伊藤純也が一段と強い輝きを放った。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

攻撃に人数を掛けることに成功。先制点はアンカー遠藤、右SB酒井も絡む。果たして次戦、サウジアラビアに通用するか。

[カタールW杯アジア最終予選 第7戦] 日本代表 2–0 中国代表/2022年1月27日19:00/埼玉スタジアム

 2-0の勝利を収めた中国戦での日本代表の収穫として、最終ラインからのビルドアップの安定感の高さが挙げられ、それにより必要最低限の人数で敵陣への進入が可能となっていた。ビルドアップの人数を抑え、相手ゴールを狙えるところに多くの選手がポジションを取れていた。

 この試合の陣形は、センターハーフタイプ(ボランチ)を中盤に3枚配置する4-3-3。幅を確保する役割は、左が長友佑都、右が伊藤純也もしくは酒井宏樹が担っていた。そして敵陣への深さを作り出していたのが大迫勇也だ。相手の選手間にできたスペースを、南野拓実、あるいは田中碧か守田、伊東と4人もの選手で突いて行けた。

 選手同士の距離感が良く、飛び出しや動き直しを交えて、複数人が関わるコンビネーションプレーを繰り出せていた。

 逆にこのように上手く行かない時、これまでの日本代表は前進を促す段階で、後方に人数を割く傾向があった。やや深く位置取るスタートの段階で、一人または二人と関わる選手を増やすため、ゴールを狙える選手の数は必然的に減り、攻撃に厚みをもたらせずにいた。

 今回の中国戦、先制のPKからハンドを獲得したシーンはまさに「厚み」から生まれた。遠藤がギャップを突いてパスを受けて相手を引き出し、さらに酒井→伊東へとつなぎ、ハーフスペースを完全に攻略した。

 また、もうひとつのメリットとして、ボールを奪われた瞬間、すぐ奪い返す態勢に入れていた。即時奪回に成功し、ボール保持の時間も長くできた。

 試合を優位に進めるためのポイントをしっかりと押さえて、コントロールしながら時間も進められた。

 しかし、この日の中国のパフォーマンスも、考慮しなければいけない。また、相手が日本のスピードや崩しに慣れてくると、攻撃が停滞していったのも課題だ。フィニッシュに向かう時の崩しのスピードや精度、何よりバリエーションはまだまだ物足りず、試行錯誤しながらもそのあたりをそろそろ高めなければいけない。

 2月1日の次戦は4ポイント差で追うグループ首位のサウジアラビア戦だ。中国戦のように簡単には進められない。

 対戦相手のレベルが上がるなか、中国戦の内容にどこまで近づけられるか。そしてさらにクオリティを高めゴールをこじ開けたい。

 4-3-3布陣に変更したあとは4連勝中だ。日本代表が積み上げてきたものを、いかんなく発揮してもらいたい。

【著者プロフィール】
佐川祐樹(さがわゆうき)
1992年4月25日生まれ。広島県出身。広島大学大学院時に指導者キャリアをスタート。広島皆実高校サッカー部コーチ、広島修道大学サッカー部監督を経て、2018〜2020シーズンの3年間、FC今治のU-14コーチを担当。元日本代表監督でFC今治オーナーの岡田武史さんから「OKADA Method」を学び、原理原則やプレーモデルを大切にする育成法を学ぶ。現在は、山口市役所で勤務しながら山口県のサッカーに携わっている。

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